たわしの帖

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古典部vs十文字!『クドリャフカの順番』を再読してみた【<古典部>シリーズ第3弾】

 やってきました、<古典部>シリーズ第3弾。『クドリャフカの順番』の再読でございます。

 本音を言いましょう。私は本作がシリーズ内で一番好きです。

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レベルアップしたKJ法指南書『続・発想法』が実例豊富で面白い

 以前に読んだ川喜田二郎著『発想法 創造性開発のために』の続編、『続・発想法 KJ法の展開と応用』を読みました。

 前記事の最後に書いたとおり本書も「『この1冊を読めば、KJ法も情報処理もマスターできる!』というわけではない」。でも、前作よりはKJ法についての情報密度がレベルアップ! ついでに難しさもレベルアップ! しておりました。

 読み応えがすごくて、読了後にちょっとだけ頭がボーッとしたぐらいです。はずかちい。

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『夜と霧 新版』から私達が学ばなければいけないこと

 戦争に関する本が嫌いだった。我が家イチの読書家である母が「戦争モノは『アンネの日記』しか読んだことがない」といって嫌っていたから、家に戦争関連の書物は一冊もない。

 おかげで、その手の作品を初めて手にしたのは小学生の頃で。けれど、教科書以外で読むことは出来なかった。『はだしのゲン』も1巻冒頭で挫折した。母が読んだ『アンネの日記』も読んでいない。現実逃避だと分かっていても、戦争における残酷な描写を直視するのが嫌だったのです。

 あらゆる戦争モノを避け続けて27年。これではいけない、過去に現実だったことにも目を向けなければならぬ──と思い立ち、選んだのが『夜と霧 新版』である。

 ほしいものリストから届いたときには、内心「ついに来ちゃったな……」と思いました。来ちゃった、来てしまった。届いたからには読まねば、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ

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ミステリーの答えはどこに?『愚者のエンドロール』を再読してみた【<古典部>シリーズ第2弾】

 <古典部>シリーズ第1弾『氷菓』に続き、第2弾の再読記事でござる。

 実は『愚者のエンドロール』、本シリーズの中でもっとも苦手な作品です。苦手というか、なんというか……一番胸くそ悪いといいますか、読んだ後に「は?……えぇぇ、マジかぁ」ってなったんですよね。前に読んだとき。

 じゃあ今回、読了後になにを思ったかといえば──やっぱり「マジかぁ」でございます。

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乙一が送る『銃とチョコレート』は苦味たっぷりのビターな児童書

 乙一氏の作品といえば『GOTH』、『暗黒童話』、『暗いところで待ち合わせ』などなど……数多くのタイトルが挙げられる。もし「お気に入りの乙一作品を答えよ」と問われたら、十人十色。比較的バラバラな回答が得られるかもしれない。

 私が気に入っている乙一氏の作品は『変面いぬ。』と『死にぞこないの青』、そして本書『銃とチョコレート』です。

 ジャンルとしては児童書に分類されますが「児童書? なーんだ、お子さまの読み物か」と侮ってはいけません。大人でも十分楽しめる乙一氏らしいダークで、ビター感たっぷりのミステリー小説です。

 バレンタインを口実に再読したけれど、ミルクチョコレートの甘みは一切なかった。そして、やっぱり引き込まれてしまいました。面白い……!

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読書ライフにメリハリをつける「絶対読まない時間と場所」について

 先日の「読書時間」に関する続き。つばささん(id:tsubasa123)より、「期待しています」と仰っていただけたので<絶対に読書しない時間と場所>について、個人的な内容になりますが語りたいと思います。

 前の記事でも申し上げましたが、読書をする時間は個々人の生活リズムや習慣で大きく異なるものです。なので「自分の読書時間やスタイルが絶対だ!」と胸を張るつもりはありません。むしろ私自身、読む時間を必死に捻出してスタイルを模索している奴です。

 ただ、こういう風に読書をしている人がいるんだなぁ……と。主に読むタイミングについて悩んでいる人へ、少しでも参考になれば。ヒントになれば幸いだと考えながら書いています。

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本はいつ、どんな時に読む?私の「読書時間」についてまとめてみた

 まめに読まないと読了できない、遅読家な束子です。以前、1月に読んだ本のまとめ記事のはてブにて、つばささん(id:tsubasa123)から「いつ、どんな時に本を読むのか」とコメントを頂きました。

 コメントに対しTwitter上で以下のような返答をいたしましたが、

改めて「私っていつ本を読んでるかな?」と自分の<読書時間>を振り返ってみたので、まとめておきます。つばささんへの返信も兼ねていますが、本記事が「読書したいけど、いつ読めば良いか分からない!」と悩むすべての人のヒントになれば幸いです。

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甘い絶望を描く『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet』

 ハタチぐらいのとき「小説 オススメ」で検索すると伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』、梨木香歩の『西の魔女が死んだ』、桜庭一樹の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet』をやたら推されたことがあった。

 海外小説ばかり広く読んで、国内小説は山田悠介と乙一が中心だった10代。勧められるまま前2作品は読んだけれど、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』だけは読めずにいました。理由は単純──タイトルから受ける印象がイマイチだったからです。

 砂糖菓子の弾丸って……女の子のサバイバルミステリー? 魔法少女系? 『ルー=ガルー*1』みたいなのだったらどうしよう! と思って積んでいた本書。

 いやいや、読まず嫌いはいかんよ。『少女七竈と七人の可愛そうな大人たち』の作者だし、ラノベ作家から一般文芸作家へシフトチェンジしたきっかけみたいな作品なんだから!

 ──と考え直して読んでみれば、あら不思議。なんとも言い難い悲しさと辛さでいっぱいになってしまった。誰ですか、魔法少女系とか言った奴。……私だ。

*1:京極夏彦著『ルー=ガルー ー忌避すべき狼』。全753ページ中、半分まで進んだところで積んでいる。

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