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文章を書く人、全員に勧めたい『新しい文章力の教室』

 ブログの更新を3日怠ったら「お久しぶりです」と言いたくなる束子です。お久しぶりです。

 年末らしく数多くの小さな仕事にわちゃわちゃしたり、大掃除やHDDの編集に追われたり、28〜30日の私事(リア充)に備えて練った計画をこなしたりした3日間。わっせわっせと忙しなくしつつ「文章力」の本を読みました。

 正式名称『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』。「コミックナタリー」の初代編集長・唐木元氏が新入社員に向けて説いていた内容を一般向けに加筆修正して、書籍化したものです。

 この本、はてなブロガーがやたら読んでいる印象があって「じゃあ私も読んでみようか!」と購入したはいいものの、積んでいた一冊だったりします。購入履歴を見たら5月だった。積みすぎだろい。

 しかし「本」というものは、いつ読んだってよいものです。なので、今更ですが読んだ感想と、読みながら感じたアレコレを書き出していきます。

『新しい文章力の教室』を読んだ率直な感想

 ただ一言、分かりやすい

 先述した通り『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』はニュースサイト「コミックナタリー」の初代編集長であり、新入社員向けの“唐木ゼミ”で説いていた内容を、一般人向けに加筆修正した本です。

 ライター実績のない新人向けの内容がベースになって、且つ“ナタリー式”で書かれているから、読み手に「伝わる」書き方がかなり噛み砕かれて記されています

 しかも「伝わる」文章のノウハウがまとめられているだけではなく、最後まで「完読させる」為のテクニックや注意点も明記。文章の構成方法から表面的なテクニックまで載っているので「これを読んでおけば、とりあえず大丈夫そう」と感じました。

※書き慣れた人も読むべき

『新しい文章力の教室』は「伝わる」「完読させる」文章の書き方だけに重点を置いていません。

 むしろ書き方に関しては第1章に押し込まれていて、その後、第2〜4章は推敲の仕方や明快さ、スピードコントロールについて。第5章ではタイトルをつけるときの原則や、インタビューやレビュー記事の書き方、長文を書くときの設計法などが語られています。

 第2章以降は、文章を書き慣れている人──特にネット上での執筆に慣れている人も読むべきだと思いました。

 本書は文節や文末、段落、文型の重複に気をつけろ。工夫するべしと申しています。さらに「記事のテンプレート化」にも言及している。

「文末を繰り返さないとか、記事をテンプレート化しないなんて当たり前じゃん!」って思うかもしれないが、文章を書き慣れてくると重複表現は出てくるものです。推敲してたら「あれ? やたら『できる』が並んでるぞ」とか「この段落、よく見たら前の段落と同じ調子で書かれてる」とか。あるある。

「記事のテンプレート化」なんて、もっとあるあるだ。似たような話題で複数の記事を書いたとき、いつの間にか同じ構成で表現方法まで似てしまうことが少なくない。読み返せば気付くけれど、裏を返せば読み返すまで気付かない現象なのです。

 もちろん、文章力がすこぶる高い人は「そんな現象ねーよ」と鼻で笑うかもしれない。でも「重複、あるある」と小さくでも頷ける人は『新しい文章の教室』を手にとって欲しい。

 きっと読みながら「私これ、やっちゃってるかも!」と、ギクリとさせられる部分が多々あるので。

常に分かりやすく品よく丁寧に、理解してない言葉は書くべからず

 方法論よりも印象に残ったのは「文章には品の良さや丁寧さというものが求められている」「自分が理解していない言葉を一語たりとも書いてはいけない」といった部分だったりします。

 誰でもネット上で記事を書いたり意見を主張できるようになった今日日、文章の品の良さや丁寧さが非常に重要視されています。

 個人的な見解だけれども、ニュースメディアに限らずブログでも不必要な「煽り文句」は不要だ。過剰な表現は如何なものかと密かに眉を顰めていたりする。もちろん時と場合によっては必要だけれど、基本的には気分を害する──品がないものなんじゃあないかなぁと。

自分が理解していない言葉を一語たりとも書いてはいけない」についても同様だ。さらに「自分が体験してない事柄を、さも体験したかのように書いてはいけない*1」と言い換えられると思います。

文章を書く人、全員に読んでもらいたい『新しい文章力の教室』

 とにかく分かりやすい、そして取っつきやすい本なので「自分の文章って分かりにくいかも」と悩んでいる人や「そもそも『伝える』文章って、どうやって書けばいいの?」といった初心者さんに“入門編”として読んでもらいたい。

 そして文章を書くのに熟れてきて、それでも「『完読』させる魅力的な文章が書きたい」「読者目線で立つには?」と向上心がある人にも、手元に置いておいて損はない本だと感じました。

 今や短文・長文問わず、文章を書かない人は少ない時代です。何度も気軽に読み返せる、ちょっとしたガイドラインとしてオススメしたい一冊です。

*1:便宜上「体験」としているが「読んだ」「食べた」など、行動全般を指す