読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

たわしの帖

やれることをやってみるブログ

たわしの帖

『知的生産の技術』は現代にも通ずる知的生産の名書

  以前「ほしいものリスト」から頂いた、『知的生産の技術』の感想文です。

 

kimamalist.hatenablog.jp

 

 元は情報カードの使い方を学ぶ一環で「読みたい!」と思っていましたが、読んでみると情報カードに関することだけでなく、知的活動について深く学ぶことが出来ました。もう、すごい。50年前に書かれたとは思えないほど、現代に繋がってる

 

 

『知的生産の技術』 とは

 著者の梅棹忠夫さんが岩波書店発行の雑誌『図書』にて、1965年4月から連載していた『知的生産の技術について(全6回)』と1968年10月からの『続・知的生産の技術について(全5回)』、計11回分+追加項目をまとめた本書『知的生産の技術』。

 前述通り、情報カードの使い方を学ぶ一環で、「ほしいものリスト」から頂きました。ありがとうございます。

 「◯◯の技術」というタイトルを見ると、その“◯◯”について解説してくれる、やり方を教えてくれるハウツー本のように思われるかもしれません。実際、私自身がそうでした。目次を読んでも、カードに関する記述の他に「情報の整理」だとか「原稿」などの項目が存在して、如何にも「情報の整理の仕方」「原稿の書き方」を教えてくれる雰囲気がプンプン。これは間違いない、と。やり方を伝授する本だと、思っておりました。

 ところが、どっこい。全然ハウツー本ではありません。梅棹さんも、申しております。本書はハウツー本ではないと。

 では、一体何なのかというと、『知的生産の技術』は技術書ではなく、「情報(京大)カードの使い方、活用法」の解説「手紙やノートの書き方・使い方、情報の整理法・管理法、文章の書き方・読み方」への問題提起を記した本である。

 なので、本書を読んでも知的生産力が向上する可能性は、高いとは言えない。

50年前故に、時代を感じる内容

 ついでに『知的生産の技術』の中には、タイプライターだの毛筆だの原稿用紙だの、たびたび時代を感じざるを得ないアイテムが出現します。正直、タイプライターも毛筆も原稿用紙も、現代では殆ど活躍の場がない。使われていないわけではないけれども。

 タイプライターの推奨や、かな文字やローマ字に関する推考は、現代にそぐわなさすぎて「50年前に書かれたものなんだなぁ……」と、しみじみしてしまう部分です。

 

『知的生産の技術』が説く、現代に通ずる方法と変わらない本質

 時代を感じるからといって、全く役に立たないわけではありません。むしろ、現代でも十分通じる方法を説いてくれている

 というか、方法以外にも現代と繋がっている部分が多々あるのです。

 例えば「今日は情報の時代である。」という一文は、現在もそのままその通り。「コンピュータープログラムの書き方が、個人の基礎になるんじゃないのかしらん」という予見は、正確に言えばまだだけれども浸透する可能性も大いにある。

 「コンピューターを操作するのが最低素養」なんて、まさにその通りです先生!! と叫びたい。「タイプライターは楽だしキレイ、知的生産をする上で大切」というのも、現代に照らし合わせたらタイプライターの一歩先に進んだPCなわけであります。

 「『今日のように忙しい世の中では、長い論文なんて誰も読んではくれませんよ』って教えられた」というくだり関しては、「それな」感がものすごくて、ぴゃってなった。現代と一緒じゃん、と。

 もちろん、現代に通ずるのは予見だけではありません。情報の整理の仕方や、文章の組み立て方、知的生産をする上での姿勢なども十分通じる内容ですし、非常に有用な内容であると感じました。

 

『知的生産の技術』で役立ちそうなこと

 情報カードの使い方が役立ちそうだった! と言いたいところですが、カードに関しては川喜田二郎さんの『発想法』とリンクさせたいので割愛。

 情報カード以外の項目で「役立ちそう、活用出来そう」と強く感じたのは、文章を書く上でひな形やテンプレートを予め決めてしまうという部分です。

 梅棹さんは『知的生産の技術』の中で、知的生産者の書く文章は「物事や思想を分かりやすく、間違いなく伝達できる能動的文章であるべき」と説いています。これは全くその通りで、小説家ではない、情報を発信する立場──報道関係者だろうが、ブロガーだろうが、「文章で情報を世に出す」側の人間すべてに求められているものです。

 予めひな形やテンプレートを決めておけば、文章を組み立てる時に、そこに当てはめるだけで分かりやすい文章が出来上がります。たとえ記事ではなくても、手紙や日記だって、ある程度のテンプレートができていれば「何書けば良いんだ……!!」と悩むことはありません。

 さらに文章を楽に書くためには、「考えをまとめる」ことと「文章に書く」訓練を繰り返す必要あると説いています。これも、全くその通り。別段、珍しくない、当たり前のことばかりですが、これらが50年前に説かれていたと改めて考えると……梅棹さんって凄いな。

 『知的生産の技術』、文章を書く人には絶対に手に取ってもらいたい。そして何度も読み返してもらいたい古典でした。おすすめ。