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たわしの帖

やれることをやってみるブログ

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Discover Japan12月号 特集『日本酒と日本ワインが凄いことになっている。』を読んだ感想

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 前回の記事内に出てきた、ほろ酔い気分で読んでいた雑誌、Discover Japan12月号の『特集 日本酒と日本ワインが凄いことになっている。』を読了。

 日本酒が外国人に人気で、日本ワインも見直されていることは知っていたけれど、こんなにも進化しているとは──というか、特集の見出し通り“凄いこと”になっているとは思いもしませんでした。いやはや、勉強になった。

 雑誌を書評してよいものか分かりませんが「現在の日本酒・日本ワイン」について得るものがあったので、簡単にまとめておく。

 普段は「お気に入りの旨いお酒があれば幸せ〜!」なんて短絡的思考で飲んでいたけれど、この特集を読んだらお酒との向き合い方が変わるかもしれない。少なくとも私は、飲む行為だけに勤しむのはダメだなぁと感じました。

ワインのように楽しむ日本酒

 特集『日本酒と日本ワインが凄いことになっている。』は、前半・日本酒、後半・日本ワインという流れで構成されている。なので、まずは私が愛してやまない日本酒から。


 冒頭の話題は日本酒と料理のペアリングを探る話について。

 ワイン界での“ペアリング”とは、少量多皿な料理にワインを合わせる“スタイル”のこと。昔はよいワインをボトルで注文して時間経過による味や香りの変化を楽しんでいたけれど、1987年にフランス、パリの三ツ星ホテル「ルカ・カルトン」がコース料理のひとつとして用意したのがはじまりだと言われている。

肉料理は赤ワイン、魚料理は白ワイン」なんて言葉を聞いたことがある人も、多いんじゃないかしらん。
 ペアリングは、これをもっと細かく──「こってり系だから香りや渋みが強い赤ワイン」「アッサリ系だから酸味が強くて軽い口当たりの白ワイン」というように、使われている食材やソースの味によって、相性のよい特徴を持つワインを飲み分けることを指すのです。

 現在の若手シェフは、日本酒と料理の自由なペアリングに研究熱心なのだとか。本誌ではミシュラン二つ星のフランス料理店「L'Effervescence(リフェルヴェソンス)」のエグゼクティブシェフ、生江史伸氏を筆頭に、都内で店をかまえる一流シェフやソムリエが日本酒×食材(料理)、日本ワイン×食材(料理)のペアリングを紹介している。

 自らもワイン、日本酒好きな人たちが紹介しているから、読んでいるだけで楽しいし勉強になります。「え、これと合わせて美味しいの?」なんて意外なペアリングも有り。

 ペアリングだけでなく、日本酒の紹介もワインぽさの滲む書きかたがチラホラ。例えば秋田県で製造された日本酒「Colors 瑠璃ーLapis Lazuliー」は、このような解説が。

生酛由来の乳酸の風味は、乳製品と、柑橘類の香り、軽やかな酸味と透明感は、トロピカルフルーツや柑橘類のトーンと好相性。フルーツ+乳製品=マンゴープリンと合わせてみてください
Discover Japan12月号 特集『日本酒と日本ワインが凄いことになっている。』P.41より引用

 どうです。一瞬、何言ってるか分かんなくないですか?

 柑橘類の香りが云々っていうのは白ワインでよく見かけるけれど、まさか日本酒でその字面を見かける日が来るとは……。「Colors 瑠璃ーLapis Lazuliー」って名前も日本酒っぽくない。いくら海外で“ライス・ワイン”と呼ばれるからって、そこまで意識しなくても。面白いから良いけどね。

 しかもマンゴープリンと合わせるって……(この日本酒のペアリングはマンゴーが推されています)。

 お堅い考え方でいえば「日本酒にマンゴープリンとか有り得ない!」なんだけど、より自由に楽しむ現代的な考え方でいえばOKなペアリングなんだろうなと思いました。そもそも日本酒とマンゴープリンを合わせようって発想が浮かばないわ。「Colors 瑠璃ーLapis Lazuliー」に巡り合ったら試してみたい……いや、勇気がいるな。

今後の日本酒新時代を担う、つくり手の挑戦

 「今後の日本酒新時代を担う、つくり手の挑戦」として、以下3つの項目が紹介されている。

  • イノベーション
  • 本物の生酛
  • 熟成

 中でも興味深かったのが、イノベーションで取り上げられている「仙禽(せんきん)」さんです。

 仙禽の酒づくりは、ワインづくりを思わせる「ドメーヌ*1」製法。自社契約した酒米と、蔵がある地元・栃木県の鬼怒川水脈の水を使い、蔵付きの微生物で作ることでイノベーション前とは違う“地元にこだわった”日本酒を作りました。結果、蔵の再建に成功します。

 飲み専門の私は全く知らなかったのですが、日本酒の多くは「特A」の酒米を遠地から購入して作っているんですって。確かに「山田錦(◯◯県)」と記されているお酒を見かけることは少ない。「山田錦(国産)」は頻繁に出くわすけれど。

 日本酒は酒造会社がある都道府県あるいは市町村の、米&水が当然のように使われていると──ワインのように「ドメーヌ化」されていると思っていた私。実は遠地から酒米を買って作られていたという事実にビックリしました。同時に地元の米と水を使うから旨い、だからこそ地元料理にもピッタリ合うという理屈も納得です。

酒で酒を仕込む?未知の貴醸酒

 正直、今回の特集記事で最も興味を引かれたのが「貴醸酒」でした。

 貴醸酒とは、日本酒の三段仕込みの最後「留添」の工程で、水の代わりに純米酒で仕込んだお酒を指します。お酒でお酒を仕込むとは……なんか、すごい濃厚そう。香りとかも強そうだなぁ。

 熟成への挑戦に追力する広島県「榎酒造」の貴醸酒を見ると、まるで砂糖を煮詰めたような琥珀よりも濃い色合いをしている。味わいも甘く、とろりとしているのだとか。

 どちらかといえば甘いお酒は苦手なのだけれど、貴醸酒は飲んでみたいなと思いました。苦手意識よりも好奇心が勝った瞬間である。

 貴醸酒が普通の日本酒と違い、どんな色合いなのか──記事を写メって載せたいところ。がしかしそれはアカン行為だと思うので、気になる方は是非、本誌を手に取って読んでください。

「日本のワインは美味しくない」認識は古い、進化している日本ワイン

 かつて、日本ワインは「美味しくない」と評判だった。ワイン党党首の母も「昔出会った甲州産ワインは美味しかったけれど、それ以外に美味しい日本ワインと出会ったことがない」と言っていた。

 外国産のワインと違い、甘すぎたり薄すぎたり、酸っぱすぎるらしい。

 しかし近年、日本ワインは劇的に進化している。日本でワインブームが巻き起こった90年代に「自分もワインをイチから作りたい!」と渡伊、渡仏した人達が、技術と共に日本に帰ってきてワイナリーを持ち、ブドウの栽培からこだわりを持って行っているからだ。

 日本ワインの作り手は、ブドウを育てる環境からこだわっている。岡山県のワイナリー「domaine tetta」は、耕作放棄地となっていたブドウ畑が北イタリアの銘醸地と同じ土壌と気付いて、その土地でワインを作ることを決めたという。

「土壌が同じ」「ワインを学んだ土地に似ている」という理由で作られた国産ブドウ100%、国内製造のMade in Nipponワイン。確かに昔に比べて美味しいのかも? 数日前にテレビで取り上げられていた日本ワインのブドウ畑やワイナリーも、衛星放送で見たイタリアやフランスのそれと似てたもんなぁ。固定概念を捨てて、一度は飲んでみたい。

シェフと料理研究家が選ぶ「気になってしょうがない」ワイナリー&日本ワイン+料理

 取り上げられるのはペアリングや、つくり手の話ばかりではありません。

 200種類の日本ワインを取り扱うレストラン「TSU・SHI・MI」のシェフ都志見セイジ氏が紹介する「気になってしょうがない」ワイナリー10軒は読み応えがあります。自分の店で“日本ワインだけ”を取り扱っているだけあって、味や風味の解説に説得力があるのです。読んでるだけで飲みたくなってくる……!

 更に料理研究家の平野由希子氏が紹介する、日本ワインと料理(レシピ付き)とのペアリングは飲みたい欲だけでなく、食欲も擽られます。赤と白、6種類を日本料理と共に魅せてくれるページは夜に読んではいけませんお腹空くから

 この記事を書いている今も、腹ぺこである。うぐぐ。

日本酒と日本ワインの導入書として、読んで欲しい一冊

 私自身が日本酒党だからか、日本ワインの情報がやや薄いような気もしました。

 が、つくり手の活動は、酒屋や瓶のラベルからは伺えないもの。その伺えない部分を知り、作り方やペアリングなどの知識を学ぶキッカケとして本誌は非常によい雑誌だと思いました。

 特集内には「新しい日本酒の選び方」や「日本ワインの基礎知識」なども紹介されているので、日本酒orワイン好きな人だけでなく、これから嗜んでみようかしらんと考えている人にもオススメしたいです。うんちくや能書きをたれる必要はないけれど、美味しい一杯を求めるなら知ってて損はない内容ばかりでしたので。

 とりあえず、貴醸酒は絶対に飲んでみたいな……私的には、貴釀酒が現在の「気になってしょうがない」日本酒です。

*1:ワイン用語で、栽培から醸造、瓶詰めまで一貫して行うこと