美味しければ良いのです!27歳が作る『卯の花の煮物』
『卯の花の煮物』を初めて食べたのは、高校生の時である。
私が通っていた高校は学食などなく、昼食は持参した弁当か、登校途中で買ったコンビニ商品か、昼時に近所の商店街から購買所にやってくるパン屋さんの美味しい惣菜パンかの3択だった。私は専ら弁当派で、友人も弁当派が多数を占めていた。
『卯の花の煮物』を初めて口にしたのは、そんな高校生の時のお弁当。しかも、友人のおかずでした。その友人は、母親お手製の『卯の花の煮物』を私に差し出しながら、こう言ったのです。
「これ、毎回お弁当に入ってて嫌なんだよね。美味しくないし、なんかお婆ちゃんっぽい」
……弁当のおかずが「お婆ちゃんっぽい」なんて表現、なかなか衝撃だったな。
『卯の花の煮物』って、美味しくない?
『卯の花の煮物』は、お婆ちゃんっぽいのでしょうか。
まあ、確かに存在感は地味ではある。ひじきの煮物や筑前煮と並んで「和惣菜の定番」って感じするし、色合いも何となく地味。今時の「オシャレなカフェ風ほにゃららランチボックス」には、絶対に入っていないメニューだろう。健康志向の和風弁当にも、オシャレの観点から言えば入っていない予感がする。
でも、『卯の花の煮物』って美味しいですよ。美味しくないですか?
私は(友人のおかずだけれど)初めて食べた時に「ほんのり甘くてしっとりしてて、めちゃ美味じゃないか」と思いました。多分、友人の母親の腕が良かったのでしょう。“おから=パサパサで喉に詰まる”という謎の偏見もあったので、あの時食べた、しっとり薄甘な『卯の花の煮物』は強烈なインパクトを私の脳内に与え、今でもしっかりと残っています。
以来、私は『卯の花の煮物』が大好きです。お婆ちゃんっぽくっても良いよ! 美味しければ!!
27歳が作る『卯の花の煮物』
私が『卯の花の煮物』を作るのは、常にこの季節と決まっています。何故なら、銀杏が野菜売り場に並び始めるからです。銀杏だいしゅき。
材料
- 卯の花(1袋)
- しいたけ(2枚)
- にんじん(適当)
- 銀杏(適当)
銀杏が苦手、もしくは銀杏の季節に作らない場合は、枝豆でも大丈夫です。
具沢山の『卯の花の煮物』は美味しいので、ごぼうも入れます。今回使うごぼうはコチラ。
冷凍ささがきごぼうです。パッケージに記されている通り、そのまま使えて手間いらず! 超便利です。鍋物にも使えます。
- ごぼう(適当……3掴みぐらい入れました)
調味料は以下の通り。液体系は全て大さじ1です。
- 醤油
- みりん
- 酒
- 水(50cc)
- 顆粒粉末カツオだし(適当)
- うま味調味料(適当)
作り方
下ごしらえ
銀杏は、殻を剥くと薄皮が付いています。この薄皮はしっかり除去するべし。このまま手剥きでも構いませんが、実にペッタリと張り付いているので、剥くのがなかなか大変。湯がくと取りやすくなるので、一度お湯に通します。
沸騰したお湯に銀杏(殻無し)を入れます。この時、火傷に注意。私は入れる時に鍋に触れて火傷をしました。危ない。
お湯に入れたら、おたまの背(外側の底の部分)で銀杏を優しく、潰さないように撫で回してあげます。すると、だんだん薄皮が取れて、つるりとした実が出てきます。銀杏の実が透き通り始めたら、薄皮が残っていても構わないので、火を止めます。水で冷やして、丁寧に薄皮を剥きましょう。
材料を切る
こんな感じで、適当に。にんじんは短冊切りがベスト。私は冷蔵庫の余り物を使っているので、「適当に細ければ良いや」のノリで切ってます。銀杏は切りません。
炒めて煮る
熱した鍋に油(サラダ油でも、オリーブオイルでもOK)を引いて、にんじん→しいたけ→ごぼうの順に炒めます。具材を入れる時は、上から投げ入れないで下さい。特に最初のにんじん。油が跳ねて火傷します。私はしました。危ない。
満遍なくにんじんに火が通り、全体に油が回ったら、調味料を入れて煮ます。適度に味が染みた頃合いで味見をして、「薄いな」と思ったら醤油か、かつおだしを追加しましょう。私は、かつおだしの追加をオススメします。
卯の花投入
おからを入れます。焦がさないように注意しながら、手早く混ぜてあげましょう。写真を撮っている暇はありません。途中で銀杏を入れるのを忘れずに。
卯の花全体につゆが行き渡り、好みのしっとり感になったら完成です。
完成
地味だな!!! これが27歳の作った『卯の花の煮物』です。ぐうの音も出ないほど地味すぎてビックリ。
今回は使いませんでしたが、1センチほどの長さに切った長ネギを入れてあげても美味しいです。味にインパクトが出ます。あと、干し椎茸が苦手じゃなければ、干し椎茸を使ったほうが良いと思います。香りが良いので。その時の「水(50cc)」は、干し椎茸を戻した水を使ってください。
冷凍保存できるよ!
作った『卯の花の煮物』は、冷凍保存が可能です。小さいタッパーやお弁当箱に入れておけば、「うわー!今日のおかず、どうしよう!?」という時や「もう一品欲しいなぁ」なんて時に、レンチンしてすぐ出せます。便利じゃろう、ドヤァ……。
地味でも美味しい『卯の花の煮物』
地味だけど、美味しければ良いじゃないですか。冷凍保存できれば、なお良いじゃないですか。レンチンで食卓に出せる手作りの作り置きって、結構大事だと思うのです。便利だから。
そして、作り置きおかずに和惣菜は打って付けなのです。特に『卯の花の煮物』のような、冷凍しても細胞が崩れない、水が出ないようなものは自然解凍でも美味しくいけちゃいます。ジャガイモは冷凍保存しちゃダメです……ポテトサラダはお止めください……。
「お婆ちゃんっぽい」なんて言わずに、『卯の花の煮物』を食べて欲しいなぁと思います。卯の花の使い道は、おからハンバーグだけじゃないんだぞ! おからドーナツだけじゃないんだぞ! 和惣菜も美味しいんだぞ! 洋に飽きたら、ぜひ。