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たわしの帖

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KJ法の始まり『発想法』を読んでみた

書籍 書籍-ビジネス書(文章法・整理術)

 梅棹忠夫著『知的生産の技術』に興味を持った時に「一緒に読んでおきなされ」と隣に並んでいたのが、川喜田二郎著『発想法 創造性開発のために』だった。

 KJ法を提唱する本書。『知的生産の技術』とほぼ同じく、50年前に初版が発行されたとは思えないほど現代でも通ずる内容で溢れた一冊でした。特段「KJ法を学びたい!」と考えていなくても、情報の整理や問題解決の手順を身に付けたい人は、一読して損はないと思います。

 そして「一緒に読んで」と言われ、Amazonでは「こんな商品も買っています」リストに並ぶだけあるなとも感じた。うむ、本書は『知的生産の技術』と合わせて読んでほしい

現代でも活用されるKJ法とは

 著者・川喜田二郎氏が発案したKJ法。研修やグループワークなどで使ったことがある人も、恐らく少なくないでしょう。

 かくいう私も学生時代に授業で使ったことがあります。といっても当時は正式名称を知らず、ただ「課題と問題の解決のために使うとよい手段」程度の認識で使っていただけでした。

 なので今回、本書を読んで初めて「あ、あれってKJ法って名前が付いていたのか」と知り、正しいやり方を学んだわけです。なんとも恥ずかしい話である……。

 KJ法を簡単に説明すると、まずブレーンストーミング(批判や否定は一切禁止、自由に意見を出し合う)などで大量のアイディアを出し合います。表に出たアイディアは、ひとつにつき1枚のカードを使って簡潔に分かりやすくまとめること。

 全てのアイディアをカード化したら、広いスペース──机の上でも、床でも構いません。カードが見渡せる場所に広げて眺めてみる。そして小→中→大と段階的にグループを編成。記号などを用いて関係性を視覚化してから図式化、文章化していきます。

 段階的にグループ編成をすると、零れて見落としがちな少数意見もきちんと拾うことが出来ます。そして、今まで見え難かった情報やテーマが自然と見えやすくなっている

 チームで問題を解決するとき、大切なのは情報とテーマの共有です。KJ法を使えば自ずからそれらの認識を共有することが出来て、チーム能力を向上させることも出来ると提言されているのだ。50年前に。すごいなぁ、川喜田先生。

『知的生産の技術』と繋がり、交わる部分

 知的生産論のひとつとして情報のカード化を提唱した『知的生産の技術』ではKJ法について、名称の紹介のみで止められていた。にも関わらずアイディアのカード化も含めて、『知的生産の技術』と本書がすごく繋がっているように感じられたのです。

 その理由は、両方の書籍とも共通点が多々あるからに他なりません。

 KJ法に必要な品物だけを見てみても

(1)黒鉛筆またはペン
(2)赤・青などの色鉛筆
(3)クリップ多数
(4)ゴム輪を多数
(5)名刺大の紙片多数

とされている。

 クリップやゴム輪はグループ編成に必要なものなので除外するとして、鉛筆やペン、多数の名刺大の紙片なんかは『知的生産の技術』を読んでいればすごく見覚えのあるものです。また、紙片への書き方やメモの取り方、持ち歩き方なども既視感を覚えざるを得ない。

 もしも本書を先に読んでいれば「『発想法』はKJ法に関する知識を学べる一冊」だけに過ぎなかったと思います。

 しかし、実際には本書を後に読んでしまったがために「『発想法』は『知的生産の技術』に出てきたカードシステムにおける、情報の整理や明確化に特化した一冊」という印象が強くなってしまいました。うーん、これは果たして良かったのだろうか……?

 まあ、そのおかげでKJ法を含め、内容がすんなりと頭に入りやすかったとも言えますけどね。カードを使ったアレコレを知っていたから「こういう使い方もあるんだなぁ」と受け入れられた──受け入れ体制が整っていたんじゃないかと。

 本書の後半では先の日本を憂いる内容が書かれている他、読書や会議などでKJ法を応用するヒントも記されています。個人的には応用術が一番読み応えがありました

 現代の書物に比べて全体的に堅苦しい文体に感じるかもしれません。でも挿絵替りの図解が、ところどころに挿入されています。なので、比較的わかりやすい。「この1冊を読めば、KJ法も情報処理もマスターできる!」というわけではないけれど、少しでも興味があるのなら手に取ってもらいたいなと思いました。

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